出力オプションはなるべく一目瞭然となるよう努めましたが、以下はその詳細のすべてです。
生成されるベクター画像は、自己交差しないループで構成された図形で作成されています。 ループとは、各曲線がその前の曲線の終点で開始され、最後の曲線の終点が最初の曲線の始点となる一連の曲線のことです。 生成されるのは、直線、円弧、楕円弧、2 次および 3 次ベジェ曲線です。
図形は常に 1 つの「正の」ループを備えています。正のループは図形の色で塗りつぶすべき領域を定義します。 場合によって、図形には「負の」ループが存在することもあります。それは、図形の色で塗りつぶすべきでない切り抜きを表現します。 負のループは、図形の正のループの中に完全に囲われていなければならず、相互に接していてはなりません。
CAD 図面、チャート、技術図面などの線画が含まれる入力画像では、描画されたジオメトリの生成を予期することは自然なことです。 ベクター化のこのスタイルは、中心線トレーシングと呼ばれています。 当社は現在、中心線トレーシングに対応しておりません。したがって、すべての描画されたジオメトリは細く塗りつぶされた図形で表現されます。
ストロークスタイルセクションは、塗りつぶされた図形で構成されるパスのストロークスタイルに関するものであることにご注意ください。 これは、中心線トレーシングとは関係ありません。
ベクター画像の中の 2 つの図形が隣接しており、その境界が完全に一致している場合、多くのベクターレンダリングエンジンでは、それらを図形間に細い白線を表示して描画します。 これは、それらレンダリングエンジンの欠陥ですが、あまりにも普通になってしまっているので近いうちに消滅するものではなさそうです。
当社では、この問題に対処するため、隙間補完と呼ばれるものを設計しました。 これは、2 つの図形間の境界線の下に細い線を描き、2 つの図形の色の平均色で埋めるように動作します。 これによって背景が透き通って見えることを防ぎ、実質的に問題を解決します。
ズームレベルによらずに一定の幅で描画されるストロークは、非スケーリングストロークと呼ばれます。 この機能は SVG および当社の PNG ベクターラスタライザーでは完全に対応されており、EPS、PDF、DXF では部分的に対応されています。
SVG は、任意の非スケーリングストローク幅に対応しており、幅広い SVG ビューワやエディターがサポートしています。例外は Adobe Illustrator で、非スケーリングスタイルは無視されストロークはズームレベルに応じて拡大・縮小されます。 当社の PNG ベクターラスタライザーも非スケーリングストロークに完全に対応しています。
EPS および PDF は両方とも明記されていない最小表示幅(一般的にピクセル幅またはそれより細いものと理解されている)の非スケーリングストロークのみに対応しています。 Adobe は正式にその使用を推奨していません。Illustrator 2023 の試験結果は、このスタイリングの取り扱いに大きな欠陥があることを示しています。
DXF も最小表示幅の非スケーリングストロークに対応しています。これは DXF ファイルの非常に一般的なストロークスタイルです。
一般的に、非スケーリングストロークは SVG、DXF、PNG のみで使用することをお奨めします。
ベクター画像は、特定の順序で描画された図形で構成されています。この順序は、通常、ベクター画像を定義するファイルに表示される順序です。
図形によっては、描画順序を変えても、ベクター画像の外見に変化を及ぼさないことがあります。 例えば、長方形上の 2 つの別個の点を考えてみてください。 長方形は点の前に描く必要がありますが、どちらの点ももう一方の点より先に描いてもベクター画像の外見には変化がありません。
内部のレンダリングが画像の外見に影響しない図形のセットは、同じレイヤーに配置することができます。 各レイヤーは順序通りに描画する必要がありますが、1 つのレイヤー内の各図形は、画像の外見に変化を及ぼすことなく、順序を変えたり、グループ化したりすることができます。
当社は各種エクスポートファイル形式に対応していますが、すべての形式がすべての機能に対応しているわけではありません。
SVG 1.1 は現在最もよく使用されている SVG バージョンですが、出力ファイルとしては SVG 1.0 とヘッダーが異なるだけです。
これらはどちらも、正式には非スケーリングストロークに対応していません。非スケーリングストロークは、SVG Tiny 1.2 で導入され、まだリリースされていない SVG 2.0 の仕様に含まれています。 実際上、非スケーリングストロークにはほぼすべての主要ビューワやエディターが対応しているので、当社のすべての SVG 出力にはこれを含めています。
Encapsulated Postscript (EPS) は、Adobe が作ったレガシー形式で、主に印刷に使われています。 グループ化や透明性には対応しておらず、非スケーリングストロークの対応は限定的です。
当社は、現在使用されている最も一般的なバージョンである EPS バージョン 3 をエクスポートしています。
Adobe の Portable Document Format (PDF) は、主にドキュメントの交換形式として使用されていますが、十分なベクターグラフィックス機能も備えています。 PDF はグループ化に対応しておらず、非スケーリングストロークの対応は限定的です。
当社は、透明性に対応する最初期のバージョンである PDF バージョン 1.4 をエクスポートしています。
AutoCAD の Drawing Exchange Format (DXF) は、広く使用されている CAD 交換ファイル形式です。 DXF の仕様はレイヤー(グループ化)に対応しているものの、DXF リーダーによるすべての曲線タイプへの対応は大きく異なっています。
当社は、DXF バージョン AC1021 (2007) をエクスポートしています。
Portable Network Graphics (PNG) は、透明性に対応しているラスター画像形式です。 PNG は、ビットマップ形式であり、ベクター形式ではありませんが、当社が生成する画像タイプに非常によく使われている形式なのでエクスポートしています。
現在、任意のスケーリング係数には対応していません。 生成する PNG 出力は、入力画像の幅および高さともちょうど 4 倍、最大 4 メガピクセルとなっています。 この制限は将来取り除かれる予定です。
ベクター化プロセスは、画像に存在する図形を定義する一連のパスを生成します。 それらの図形をそれぞれの色で埋め、結果の画像が入力ビットマップと同じように見えるように、ただし、境界をより鮮明にし、品質の低下なしに拡大・縮小できるようにすることは自然なことです。
ただし、アプリケーションによってはパス自体に関心を寄せることがあります。その場合は、図形をストロークするか、図形間の境界をストロークする方がより目的に適います。
すべての図形の曲線を、あたかも塗りつぶすかのようにストロークしますが、暗黙の塗りつぶしスタイルではなく、ストロークスタイルで定義された描画スタイルで行います。
2 つの図形が接している場合、図形間のエッジは、それぞれの図形について 1 回ずつ、計 2 回ストロークされます。
切り抜きは、常にエッジ当たり 2 回ストロークされます。 重ね合わせの図形では、図形とそれに完全に包含される図形の間で 1 回のストロークを生成し、2 つの図形がどちらも包含していない隣接される図形間では 2 回ストロークされます。
ストロークは図形間のすべてのエッジで 1 回適用されます。
通常、各エッジを 2 回(隣接する図形それぞれ 1 回ずつ)ストロークする図形のストロークとは対照的に、この描画スタイルは図形間の各エッジを 1 回だけストロークします。
これは、レーザー彫刻、ビニールカッティングなどに便利です。
ベクター画像の図形は、相互に重ね合わせられるか、または相互に切り抜かれるかと考えることができます。 当社はどちらも生成できます。
下の図形の切り抜きに図形を配置。 これは、すべての図形が相互に重ね合わされることなく、単一のレイヤーを形成することを意味します。
これは、隙間補完機能を単純化します。なぜなら、すべての隙間補完ストロークをすべての図形の下の単一レイヤーに配置することができるからです。 ただし、図形が相互に隣接している場合、相互に重ね合わさる場合と異なり、より多くの隙間補完ストロークが必要になります。
また、切り抜きを指定する曲線を含める必要があるので、ファイルサイズがより大きくなります。
画像と優先事項によって、ベクターエディターで結果を編集することがより簡単に、またはより困難になる可能性があります。 特に、切り抜きは画像の 1 つの要素を他の要素と分けることが簡単になります。なぜなら、各要素の視覚的形状はその上に重なるその他の要素に依存しないからです。 逆に、画像のすべての部分を一緒に保つことを意図する場合、切り抜きでは、ある図形の編集にはその図形が乗る図形の対応する切り抜きをも編集しなければならないので、その要素の正確な形状を編集することが大変になります。
図形を相互に重ね合わせます。 小さな層が大きな層の上に重ねられている多層のケーキを思い浮かべてください。
このオプションは通常、ファイルサイズや隙間補完ストロークの数を最小化します。 ただし、隙間補完ストロークを、それを必要とする図形とそれを包含する図形の間で交互に配置しなければならなくなるので、隙間補完機能は複雑化します。 これはまた、隙間補完ストロークがその対象となる図形から少しはみ出してしまう副作用を発生させる原因になることがあります。 この問題は、非スケーリングストロークの使用、または隙間補完ストロークの切り取りで解決できます。 当社は、できる限り、非スケーリングストロークのご利用をお奨めします。
重ね合わせの図形では、図形とその下の図形の境界の編集が簡単になります。その境界は切り抜きのように二重になっていないからです。 しかしながら、画像の 1 つの要素を切り分けることが困難になる可能性があります。なぜなら、各図形の視覚的な外見はその上に重なる図形に依存するからです。
SVG のようなベクターファイル形式は、複数の図形をまとめてグループ化することに対応しています。 このようなグループ化は、主に整理のため、およびグループ内のすべての図形の一括変更により編集をしやすくすることに役立ちます。
SVG は、グループ化に完全に対応しています。 EPS および PDF は、グループ化に対応していません。 DXF は、グループ化に似たレイヤーに対応しています。
以下のセクションは、図形をどのようにグループ化するかを制御します。
図形はそれが塗りつぶされている色でグループ化されます。
図形の重ね合わせモードが切り抜きの場合、定められた色のすべての図形は、単一のグループにまとめられます。
図形の重ね合わせモードが重ね合わせの場合、通常は定められた色のすべての図形をグループ化することはできません。グループ内のすべての部分は、ベクター画像の描画順序において同じ位置を占める必要があるからです。 このため、重ね合わせ画像においては、同じレイヤーを占めている、定められた色の図形のみがグループ化されます。
同じ親を持つすべての図形をグループ化します。
ある図形が別の図形に完全に包含されている場合、外側の図形が内側の図形の親とみなされます。 他の図形に完全に含まれていないすべての図形は、ベクター画像自体を親としてグループ化されます。
描画順序レイヤーに基づき図形をグループ化します。
描画順序レイヤーは、画像の外見を変更することなく、自由に内部の描画順序を変えることができる図形のグループです。
当社は、円、楕円、長方形、二等辺三角形、星形など、すべてが任意の回転角度と角の丸みを有する、特定のパラメータ化された図形の特別な識別に対応しています。 これらの通常の図形のフィッティングでは、完全なジオメトリと一貫性のある角の処理を持つ図形を生成します。 いくつかのエクスポート形式は、これら図形の一部をネイティブサポートしており、当社も結果のファイルを編集しやすくするため、これを活用しています。
当社は、どの種の曲線をエクスポートするかについて、きめ細かい制御を提供します。 各ファイル形式とその他のオプションにも、許容される曲線タイプにそれぞれの制約があり、必ず最も高い制約オプションが使用されます。
SVG、DXF、当社の PNG ベクターラスタライザーが対応している 2 次ベジェ曲線は、2 つのエンドポイントと 1 つの制御ポイントで定義されます。 曲線の 1 つのエンドポイントにおける接線方向は、そのエンドポイントを制御ポイントに接続する直線と常に平行になっています。
2 次ベジェ曲線が無効化された場合は、3 次ベジェ曲線、楕円弧、直線の順序で代替されます。
すべてのエクスポート形式で対応されている 3 次ベジェ曲線は、2 つのエンドポイントと 2 つの制御ポイントで定義されます。 曲線の 1 つのエンドポイントにおける接線方向は、そのエンドポイントをそれに対応する制御ポイントに接続する直線と常に平行になっています。
3 次ベジェ曲線が無効化されると、直線で代替されます。
SVG、DXF、当社の PNG ベクターラスタライザーで対応されている円弧は、中心点、半径、始点角度、およびスイープ角度によって定義されます。
円弧が無効化されると、楕円弧、3 次ベジェ曲線、直線の順で代替されます。
SVG、DXF、当社の PNG ベクターラスタライザーで対応されている楕円弧は、中心点、長軸、短軸、回転角度、始点角度、およびスイープ角度によって定義されます。
楕円弧が無効化されると、3 次ベジェ曲線、直線の順で代替されます。
曲線を 1 つまたはそれ以上の線分に変換する必要がある場合、このセクションは、フィッティングの品質に対する制御を提供します。
上述のように、ベクター画像ラスタライゼーションエンジンのほぼどこにでも見られる欠陥は、実際の元画像には隙間がないのにもかかわらず、隣接する図形の間を通して背景色が表示されてしまうことです。 これは通常、結果をパズルのピースに分ける細い白線で示されます。
この問題に対応するため、隙間補完を有効化することができます。これは、隣接する図形の後ろまたは間に、それら 2 つの図形の色の平均色をもつ小さなストロークを配置するものです。 これによって背景が間から見えることを防ぎます。
このセクションは、描画スタイルが図形のストロークまたはエッジのストロークに設定されているときのストロークスタイルを制御する方法を示しています。